ーカランカランッ
あたしを囲む、鍵のない檻。
それが、1つ、また1つと格子が壊れ、外の世界へとあたしを誘う。
遠くから、『ほのかちゃん』と、優しくあたしの名前を呼ぶ声がする。
怖くてたまらなかった外の世界…自由そのものが、少しだけ恋しいと思った。
「大好きだよ、ほのかちゃん」
そう言って、花のように微笑むこの人が、たまらなく好き。
「嬉しい……あたしも、大好き」
嬉しくて、自然とこぼれる涙に、渚くんも嬉しそうに笑ってくれるから、「この人を信じよう」そう思えた。
どうか、ずっとずっと…渚くんの傍にいれますように。
渚くんに抱き締められる。
その肩口から見える、ちょっぴり欠けた月に、あたしはそう願った。


