「……好きです」
心臓がバクバク言ってる。
あぁ、どうやって呼吸してたか分からないくらいに苦しいよ。
「そうだよね、今はほのかちゃん、大変な時期だし、俺に好きとか言われても迷惑……えっ!?」
ブツブツと呟いて勝手に落ち込んでいた渚くんは、驚いた声を上げてあたしを見つめる。
「ほのかちゃん、今なんて……」
信じられないと言わんばかりの驚きに、あたしは小さく笑ってしまった。
深呼吸をして、ちゃんと伝わりますようにと、渚くんを見つめる。
「あなたが好きです…渚くん」
そして、もう一度伝える。
あたしの、家族に向けるもとは違う、恋した相手に告げる生まれて初めての「好き」。
「っ、ほのかちゃん!」
「好き」だと伝えた瞬間に、あたしは渚くんに強く、強く抱き締められた。


