「渚くん……」
あたしは渚くんの、いつもと違う熱を含んだ瞳から目を離せずにいる。
「ほのかちゃんが…」
「オーイ、渚!ほのかちゃーん!!」
渚くんが、意を決して何かを伝えようとした瞬間、琢磨くんに呼ばれてしまう。
「琢磨、あのタイミングでよく呼んだね」
「バカ琢磨……」
優真くんと梨子は苦笑いを浮かべる。
「ううっ……琢磨を恨んでやるっ…」
「渚くん、大丈夫?」
涙目の渚くんが、あたしは心配で顔をのぞきこむ。
すると、渚くんは苦笑いを浮かべて、あたしの手を引いて立ち上がらせてくれる。
「続き、絶対に言うから」
「え……?」
立ち上がった渚くんは、真剣な瞳であたしを見下ろして、そう伝えた。
「その時は、最後まで聞いてくれると…嬉しい」
「………うん、渚くんの言葉なら、どんな言葉でも聞きたい」
笑顔を返すと、渚くんは少し照れ臭そうに頬をポリポリと掻き、あたしの歩幅に合わせてみんな所へと向かう。
渚くん、渚くんの言葉の続きを聞くのが、本当は少し怖いです。
でも……渚くんはきっと大切な事をあたしに伝えようとしてくれたんだと思うから…。
あたしも、勇気を出して、あなたの気持ちに向き合うね。


