「ありがとう、渚くん」
あたしは、ポタポタと落ちる水滴を取るように、軽く髪を握り、水を絞った。
「あ~~、ほのかちゃんっ、俺ダメだ!!」
渚くんは顔を片手で覆い、その場にしゃがみこむ。
「え、え?」
渚くん、どうしちゃったんだろう。
さっきから、渚くんは落ち着かない。
そんな渚くんが心配で、あたしは渚くんの目の前にしゃがみこんだ。
「ほのかちゃんが、可愛いすぎて、辛い」
「なっ……渚くん、何言って…」
顔の赤い渚くんは、顔を俯けて上目遣いであたしにそう言った。
あたしも、その一言に顔に熱が集まる。
「もっと、色んなほのかちゃんが見たいって、俺どんどん欲張りになってくみたいだ」
「それは……」
それは、あたしもだよ。
渚くんの事、もっともっと知りたい。
あたししか知らない渚くんの表情、しぐさ、気持ちを知りたいって欲張りになる。


