「忘れてた、こいつらボンボンだった!」
「え、そうなの!?」
渚くんの言葉に、梨子が驚きの声を上げる。
「父親が社長!なんのか忘れたけど!」
「母親はデザイナー」
琢磨くんと優真くんがシレッと答える。
「いや、忘れるなよ!大事な事だろう」
「待って、跡継ぎがこんなバカでいいの?」
渚くんと梨子のツッコミは、どんどん進化している気がする。
「じゃあ、決まりな!」
「いつにする?」
どんどん進む話に、双子以外は取り残されている。
でも、これがなんだか楽しい。
いつもの、みんなの日常。
今までなら、あたしはみんなといても、どこか…遠目に見ている自分がいた。
だけど……この場所が自分の居場所だと思えるようになった。
そう思えるようになったのは、きっと…。
あたしは、隣の渚くんの横顔を見上げる。
「ん?どうかした?」
視線に気づいた渚くんは、あたしに笑みを向ける。
それはきっと、渚くんと出会えたからだ。


