「行ってきます、おばあちゃん」
あたしはおばあちゃんの笑顔に見送られながら、家を出る。
夏の暑い日差しが、肌を焼いてしまいそうで、今日は日焼け止めを塗ってきた。
半袖ワイシャツを第2ボタンまで空け、リボンを緩める。
首筋に汗が伝うのを、ハンカチで拭った。
あたしは、いつもの通学路を1人歩く。
ふと、どこからか視線を感じた。
「……?」
キョロキョロと周りを見渡すと、電柱のすぐ隣に、サングラスをかけ、黒いジャージに身を包んだ男の人が立っていた。
あの人、こんな暑いのにフードなんて被って…暑くないのかな。
あたしはそれを不思議に思った。
「ほのかちゃーん!」
首を傾げていると、ポンッとあたしの肩を叩かれ、振り返ると、渚くんが笑顔で立っていた。