「やっと…やっと、ほのかちゃんの心に届いた」


あたしの笑顔を焼き付けるように瞬きもせずにあたしを見つめる渚くんの瞳と視線が重なる。


やっぱり、綺麗な瞳…。

人って、生きてるうちに世の中の汚いモノとかを見て、子供の時は澄んでいた瞳も曇るものだと思ってた。


だけど、渚くんはどんなに汚いモノを見ても、曇る事なく、澄んだままでいるんだろう。


「渚くん……」


夏の日の長さに、あたしは感謝した。

夕日が、あたしの赤い顔を隠す理由を作ってくれるから。

ちよっぴりベタだけど、「夕日のせいだよ」って笑えるもんね。


「ほのかちゃんの心を…もっともっと知りたい」

「渚くんになら……見せられるよ」


もう、他の人と同じにならなきゃなんて思わない。

渚くんは、あたしの弱いところも知っていてくれてるから。


まだ、信じる事は怖い。

気持ちは、目に見えるものでは無いから。

でも、渚くんの事はあたし……信じたい。


渚くん、あたしも……渚くんの心の中を知りたいよ。
 
そう思えたのは、あなただけです。


あぁ、この人がたまらなく……好き。

渚くんは迷惑かもしれないけど、あなたが好きです。


気づいてしまった想いは、ぜったいにしないと思っていた『恋』でした。


そっと、心の中で想いを伝える。


感情なんてもういらないと思っていたあたしの心の檻にヒビが入る音がする。


それを、ずっと待っていたのかもしれない、そう思いながら
、渚くんの胸の中、そっと瞳を閉じた。