係の人がピストルを空へ向けるとあたしの胸は一気に高鳴る。 音が鳴り響くと列から一人飛び抜けて疾走する人は… (龍二君…すごい速い…) 風を切り、駆け抜ける姿を見てあたしは釘づけになっていた。 「さすか水神君!ぶっちぎりで1位だなんて、ねっヒカル♪」 「……」 「ヒカル?」 「へっ?」 あたしは甘菜に名前を呼ばれて変な声を出す。 「もしかして龍二に見とれちゃた?」 成君がちょっと意地悪く笑いながら言うとあたしは恥ずかしさで熱くなる。