「龍二~」
昌也は泣きそうな表情で両手を広げ、抱き着こうとしてきた。
「気持ち悪いから、やめろ。」
昌也達と、じゃれ合っている背後から声を掛けられた。
「水神先輩!!」
振り向くと、少し強張った顔をした零が立っていた。
その両手は、力強く拳を握りしめ、怒りと悔しさが込められてるのだろう。
オレは、そんな零を見てゆっくりと近づき、肩に手を置いた。
「次も頑張ろうな。」
ただ、それだけ…
それだけ言ってその場を離れた。
呼び止める零や昌也達を振り切って行く。
オレは、なんて零に言葉を掛けていいのか分からなかった。



