恋色風船

「そんなことないですよ。
林さんのセレクトがいいから」

こんなやりとりは、もう前戯にちかい。


頃合いを見計らったように、お運びの女がふたたび姿をみせ、手早く鍋に雑炊をととのえる。

〆に切った梨がでたが、驚くほど甘くみずみずしかった。


長居する類の店ではない。

女将だろうか、たっぷりとした体つきの女が見送りに立っていた。
帯をくずした着物の着こなしが、いかにも慣れている風情だ。


ふたたびハイヤーに乗り込み、見送られて店を後にした。