恋色風船

麻衣は舞妓や芸妓に、興味はなかった。

うつくしい女は自分だけでよいのだから。



ほどなくして、ハイヤーは御所にほど近い上京区の一角に、なめらかに停車した。


「ようこそぉ、おいでやすぅ」

白い暖簾の奥から、若い女が満面の笑みで出迎える。


下足番の男衆が、寡黙に靴を受けとっておさめていった。
引き換えの札をわたされることはない。

どの靴が誰のものか、彼がすべて飲みこんでいるということらしい。