恋色風船

「わしら京都のもんは、『まる』て言いますけどなぁ」

初老の運転手が口をはさんできた。

林と麻衣の関係には、知らんふりを決めこんでも、京言葉には黙っていられないらしい。


「そう、すっぽんのこと『まる』って言うんだ。だからすっぽん鍋は、まる鍋。
今日の料亭は、まる鍋で有名なお店でね」

「楽しみです」


「京都のタクシーの運転手なら、そのお店、知らんものはおりまへん」