恋色風船

「この店は、全部個室で、三つか四つかそれくらいしかないんだ。一日に限られた客しかとらないのが、シェフの方針でね」

なんでもないように言う。


なんてぜいたくなんだろう。

麻衣は知らずうっとりする。


あれから、会社の受付で顔を合わせる機会はあったけれど、デートはこれが二回目だ。

体の関係をもって以来、とはいえ、はにかむというほどではない。

会社で顔をあわせるほうが、はるかに面映い。


そ知らぬ顔でやりとりしながら、麻衣はスーツを脱いだ林を、林は制服をまとわない麻衣の姿を反芻している。


ステディの関係で得られるのは、安心感のほうが大きい。