女性を、それも彼氏アリを承知で誘ってくるからには、迎えは車ときまっている。

六本木のカフェで待ち合わせて、うつくしい光沢を放つBMWに乗せられる。


「助手席に若いコ乗せるなんてひさしぶりだから、緊張しちゃうな」

そう口にはするけれど、ハンドルを握る手つきに力んだふうはない。


慣れている。
それくらいがいい。楽しませてほしいのだから。


麻衣の金曜の夜は、恋人のものだと知っているから。
土曜の夜に誘ってくる、年上の既婚者。

さて、彼は妻になんと言って、出てきたのだろう。