恋色風船

「麻衣ちゃん、お手洗い行かなくて大丈夫?」

林が、ふと気づいたというように訊く。

「じゃあ、ちょっと失礼します」

麻衣はポーチを手にして、立ち上がる。
メイク直しを装うのもエチケットだ。


テーブルに戻ると、林が「出ようか」とうながした。


「あ・・お会計は?」
あわてたそぶりで、口にする。


「ん~、お店の人がね、とっても素敵なお嬢さん連れてきてくれたから、お代いいですって」