恋色風船

男に声をかけられるのは日常茶飯事だけれど、林の如才なさは際立っていた。

さりげなくカウンターに置かれた左手には、指輪が光っていた。

椎名さんだと予定いっぱいだと思うけど・・・ちらりと麻衣の胸の名札に目を走らせる。

「僕とも一回おつきあいいただけたら、ってね」


それもありかな、そんな気持ちが生まれたのを、覚えている。