恋色風船

だって、と麻衣は思うのだ。


ああやってきれいな色をして、ふわふわ揺れて、人に望まれていられたら・・・・それを幸せっていうんじゃないだろうか。

そんな自分の心の機微を、明彦がくみとれるわけもなく、麻衣は視線をそらす。


なにか動くものが、視界のすみに引っかかる。

隣に配されたテーブルに、ベビーカー連れの女が腰かけている。

こちらに背をむけて、子どもに目を落として、ベビーカーをゆっくり前後に動かしている。

ベビーカーをつかんだ腕の、その、ひじ。
黒ずんでがさついている。