恋色風船

短大の同級生に奈美という、自他ともに認めるコスメマニアがいた。


目鼻のちんまりとした、地味な顔立ちがメイクを施すと、洗練された美人になりかわる様は、まさに化けるという形容そのものだった。


奈美のメイクは、なんとゆうに一時間はかけるという。

「ベースと、コントロールカラーと、コンシーラーと、ファンデはパフじゃなくて筆で塗るのね。
よれないし、持ちがいいから。
まず完全に顔の色ムラを消してから、顔色をつくってくの」

そう語るのを聞いたときには、さすがに気が遠くなる心地がしたものだ。