〜mirei






目が覚めて熱をはかる
36.3
下がった
近くにあった征兄のカーディガンを借りて部屋の外に出た









征兄…?



「お兄ちゃんっ」



体を軽く揺さぶると小さな唸り声をあげ目を開いた
「ん…
あ、美麗か…
おはよ…」



「何でこんなところで寝てたの…」


兄が寝ていたのは廊下
そして私の部屋の戸の隣
「さぁ…
よく分からない…」




きょとんとした顔でそういう兄に

「疲れてるんじゃない?
私はもう熱下がったから
お兄ちゃん玲二の部屋使って寝なさいっ」


一応ある玲二の部屋を指差し無理やり押し込める
黒にまとめられた室内
たまに見える赤
その二色がとても懐かしく思える部屋

そういえば…
濡れた制服…
洗面所に向かう
あらま…
クリーニングに出されたのか薄いビニールに覆われたそれ
んー
ご飯?
リビングに向かう
キッチンには鍋が一つ
開けてみるとおじやがだ
卵と鰹節の入ったもの
私の大好きなやつ!
火にかけ温めると丼に盛ってテーブルに置いた

前にも隣にも誰もいない食事…
いつぶりだろう…

3年振り位?…
いや
5ヶ月ぶり?

まぁ漣家が、忙しくって皆で食べれなかった時以来だ
静かな食事を終えるとまたベッドに入る
夜までは静かにしてよう…
中谷も帰ってくる

ガチャ

自室の前の扉が開く音がした
「帰るの?」
扉を開け相手に話しかける

「早朝に漣から連絡が来てたんだ…
帰らなきゃね…
中谷は昼には帰ってくる
留守番できる?」



家に1人…
それはいやでも私に過去を思い出させるには充分な材料だ
少しだけ体が重くなる


「うん…
わかった
大丈夫だよ…
もう16歳になるんだからっ
心配しないで」


無理やりにでも笑う
こうでもしてないと崩れ落ちてしまいそうだ


きゅっ


優しく抱き寄せられる

「ごめん…
そしてありがとう…
誰が来ても扉を開けちゃダメだよ…」





「分かってるよ…」




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