「美麗ちゃんっ」


足音が近づいてきた
猫が膝から逃げ出す

待って

手を伸ばすが中谷に抱きしめられ叶わなかった

「離してっ」

「ダメ…」

「はなしてよっ」

痴漢撃退法を使って猫を追いかける
が、すぐに見失った…

「どこいったの…」

だってあの鈴は…
あの鈴は…




遥の…





何で離したんだろう…
その場にうずくまる

「帰るよ…
美麗ちゃん」

濡れた上着が肩にかけられた

「濡れてるよ…」

「うん…
でもそれしかないから」

優しい声に安心する
中谷さんに体重を預けながら車へと戻る


扉が開けられる



「何かあった?」



「うんん…」



「嘘はつかないの…
目がおかしい……」


目は口ほどにモノを言うってか…


「本当に大したことじゃないの…
ただね遥の持ってた鈴をつけた猫に会ったの…」



「そっか…
遥君のね…」





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