ぶーぶーと文句を言い続ける黒髪くん
私まだこの人の名前知らないな〜とか…

「ん?
なに美麗ちゃん」

にこにことした顔を見せる黒髪
誰かに似てる…
ただそんなことを思う


「あれ?
俺美麗ちゃんに自己紹介したっけ…
まぁいいや
俺すばるっていうからっ
よろしく!」


なんかこの人うるさい…
わかった
あのバカ兄弟の兄の方に似てるんだ…

「…っで
美麗ちゃん!
早速だけど着いてきて?!」

手を繋がれる
前奈緒と呼ばれていた人は放置されたまま

「奈緒はいいのいいの…」

後ろからあの変な隣人がついてきていた
はいっ
ヘルメットを渡される
それを素直にかぶるとバイクの後ろに座らされる
懐かしいっ
バイクだ
一人ニヤニヤしていると失礼な隣人に変な目で見られた

ふんっ

思いっきりそっぽを向いてやる
んー
いつぶりだろ…
玲二には乗せてもらってたけど
あいつがいなくなってからは全く乗せてもらってない…
てことは…
もう、3年もたつのかな
最後に乗った日から…

「美麗ちゃん?
落ちちゃうからしっかりつかまっててね」

そう言うとバイクが急発進した
えっーー!!!
運転荒っ
ん…
まぁ…
あの日の運転よりはまだいい…
景色はどんどん移り変わっていく
住宅街、繁華街、市街地…
街はずれ
川の近くにある大きな倉庫…

何か懐かしさを感じるその建物