思わず手が伸びるが相手を見る…
絶対なんか企んでる…
でも食欲には勝てないものだ
それを奪うと口に入れた
んー

「テストが終わったら待ってて…」

それだけを言うと前に向き直した男に私も前を見る
待ってるのはいいけど…
中谷さんに聞いてみなきゃね
パンを詰め込むとテスト用紙が配られ最後のテストが始まった



ぁぁあああ……



終わったっ!
帰ろうっ
パシッ
腕を掴まれる…
これ昼休みもやったな…
そんなことを思いながら後ろを見る



「待っててって言った」



あ…
そ う い え ば
言ってたね
そんなこと…
でもまだ中谷さんに言ってないよ


「ちょっと でんわしてクル」


「ここでして」


「ぇ?」


「ここでしてって言ってんの…」


中谷さんそこにいるのに電話はないでしょ…
会いに行くために出てくんだけど…
まぁいっか…
携帯をカバンから取り出すとボタンを押した

「はーい♪」

つい一時間前にあんな顔をした人とは思えない声色

「何か分からないんだけど
用事があるらしくて済ませてから帰るね
電話するからねっ」

「りょーかいっ
まぁ近くにいるからいつでも呼んでね」

明るい声を聞くとそれを切って今だ手を掴んでる方を見る

「普通にしゃべれるんだね」


ふーんと考えながら誰か来たのか扉の方を見た
何かを引きずる音と人の足音

「かけるー
何か説明した?」

「してなーい」

「もー
溜まり場行く時間少なくなるじゃん」.