「泣き止んだかな、お姫様?」

「っ…拓海さん!」

「ははっ、ごめんごめん。奏多があんまり可愛くて…」


そんなに優しい目で見られたらなにも言えないじゃない。

今までは余裕がなくて気づかなかったけど、今いるのは知らない場所。


「拓海さん、此処って…」

「あぁ、俺の実家だよ。ちなみに廊下で盗み聞きしているのは両親だ。」


実家?盗み聞き?
頭が真っ白になる中で気まずそうに顔を出したのが拓海さんのご両親みたいで。


「奏多ちゃん!辛い事や困った事があればいつでも私に言うんだよ?何だって力になるぞ!」

「音弥さんズルイわ!奏多ちゃん、私も力になるわ。だから我慢しないでね?」


ズズイと近づいてきた青年と言っても気づかれないだろう人と可愛らしくて少女のような人。
もしかして、


「父さん、奏多に触らないでください。母さんも、奏多が困っていますから。」

「え…えぇ!」


あまりにも若すぎる。いや、若く見えすぎる?
拓海さんのご両親はどうみても拓海さんとあまり年が変わらなさそうで。


「うん、言いたい事はわかるけど…正真正銘の両親だからね、奏多」

「うそ…見えない……でも拓海さんと似てる…」


呆然としてしまうのは致し方ないはず。すごく怖いご両親を想像していたのに、蓋を開ければすごく若く(見え)て、なんだかフレンドリーな空気を漂わせているんだもの。