そして、『友達の家にいる』と言い、俺の部屋に来れば嘘もついていなし、手間もかからない。




こいつはそう考えているのだろうが、こっちからしてみれば、いい迷惑だ。




それでも断れないのは、




こいつの事を小犬のように『かわいい』などと思っている自分がいるせいだ。




俺は深くため息をつくと、鍵をヒジリの頭の近くに置き、耳元で呟いた。




「ヒジリ……。鍵、ここ置いとくから…ちゃんと閉めろよ。……じゃあな」