母と手を繋ぎ、ショッピングモールの入口に向かった。

「ッ...」

「マコ?」

ここから寒い空気が流れてきている。そんな気がしてマコの体は少しだけ震えた。そんな様子が変だと感じたのか、母は歩みを止めた。後ろから父が来て「どうした?」と不思議そうに言った。

「なんか、いきなりマコが震え出しちゃって」

「震える?何で」

入口に目を向けると、そこには大きな招き猫がこちらの方向を向いて置いてあった。
これか。そう思い、父はフッと笑った。

「大丈夫だよマコ。あれは偽物だから」

「偽物?あら、あれに驚いてたのね」

「きっとそうだよ。ほら、行こうマコ」

「...うん」

手を差しのべる両親。そんな2人を見て今更"行きたくない"なんて言えるはずもなく、その手を握り...


ウィーン


入口へと入っていった。