「こいつ、昔の記憶がないんだよ」

「記憶…が…?」

うそ。じゃあ、私に教えてくれたことも私にくれたものも1つも覚えてないってこと?

私は頬を涙が流れたのがわかった。

「絵美ちゃんは富山高校に入学したのかと思ってた。だから会うことないかなって。いや、会わない方が傷付かないだろうって思って…」

「竜、この人俺の昔の知り合い?」

昔…。ズキズキと心が痛む。

「ああ。」

「ふーん。悪いけど今は昔の俺じゃないんで、じゃあ。」

「ごめんね。絵美ちゃん…」

「竜の…。…竜の、心遣いでしょ?大丈夫だよ!わかってる!」

「絵美ちゃん…」

「心配しないで!丁度爽太君の事も忘れかけてた時だったから何とも思わな…」

我慢してた涙がポロポロとこぼれだす

「ごめん!きにしないで!!」

私はそれだけ言って屋上へ走り出した
叫びたい!叫びたい!!

ーガタンッッッー

「わぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

叫びたい。泣きたい。笑いたい。

「うぅ…。グスッ。…ぅ…」