君が私にくれたもの


「わぁぁ!すご!綺麗…」

「絵美奈!砂でお城つくろーよ!」

「うん!」

私と美空は正直浮かれていた。竜と爽太君は保護者になったかのように笑って見ている。

「絵美奈〜。これが夏だったら泳げたかな?」

「そうだね!美空泳ぐのすきだよねぇ」

「まぁね!これは唯一私にある特技。これは誰にも奪えないかけがえのないものだから!」

「…うん。いいなぁ」

そんなふうにいえるものがあって…。

「は?絵美奈にもあるじゃん」

「…え」

「バトン…!」

「ええ?!特技じゃないんじゃ…」

「特技なの!…絵美奈が踊るのと他の人が踊るのは全然違う。絵美奈だからできることがある。絵美奈じゃないとできないことがある。それってもう絵美奈のものじゃない?」

バトンは私のもの?

「絵美奈にしかできない演技がある」

「私にしかできない…?」

「うん!」

そこまで言ってもらえることがある。それって不思議なことだよね?

「…ありがとう…。すぅー」

私は海に向かって叫ぶ。

「バトンはもぉ、私のものだぁぁ!!」

「あはは!言っちゃえ!」

「あはははは〜!最高!きもちぃ!」

「絵美ちゃん!今のいいね!」

「でしょ!あはは!」

「すげぇな…」

「ん?」

「いや…」

「絵美奈最高だよ!ぶはは!」

「まーね!あはははは!」