その日の帰りだった。 周りにいる人たちをかき分けて私のところまで来てくれたのは、 「ねえ、白雪さん」 人気者の、吉野さんだった。 振り返ると、今日マジックに使ったトランプを持って私を見ていて。 「はい、お守り」 私の胸ポケットにトランプを忍ばせた。 びっくりして、慌てて返そうとすると、いつの間に人並みに溶け込んでいて、 私の入る隙はなくなっていて、仕方なくトランプを受け取ることにした。 「…お守り、か」 ため息とともに呟いて、トランプを再び胸ポケットにしまった。