「あと取り分けるだけなんだけど……」
「手伝います!」
対面式キッチンに向かう2人。
私もそちらに行こうと思うと、手を引かれた。
「なあ、ちょっと話があるんだけど」
「なに?」
「俺の部屋、いくぞ」
私の手を引いてリビングから出ようとする理央。
私はそれを拒み、立ち止まる。
「もうすぐご飯だよ」
横目でひかりを確認しながら理央に言う。
理央は納得いかなさそうな顔をしたけれど、
「それもそうだな」
と、掴んでいる私の手を離した。
支えがなくなった私の手はゆれる。
「ひなたちゃん、理央、なにしてるの?ごはんよ」
振り返ると、テーブルには五つのお皿に餃子が取り分けられていた。
「食べよう」
いつもの席に座って、いただきますを言う。

