「家、どっち?」
「左だよ、朝陽くんは?」
「あ、俺も一緒だ」
玄関を出た私たち。
右に見えるグラウンドでは野球部が必死にす振りをしているところがみえる。
教室をでるときにはオレンジ色だった空は薄暗い青色に変わっていた。
その中で一つだけ輝いている三日月。すごく綺麗だ。
「月、めっちゃキレー」
「えっ……」
左を見れば朝陽くんが上を見上げていた。
私の声に気づいた朝陽くんは、どうした?と見上げていた顔をこちらに向けた。
「私もいまおんなじこと考えてた」
「仲間だな!!」
にひひって笑った朝陽くん。
気分が良くなったのか、朝陽くんは鼻歌を歌い出した。
「もしかして、月9の主題歌……?」
「そう!さすが女子!!俺この曲めっちゃ好きなんだよな〜」
どくん、どくんと鼓動がうるさいくらいに音を立てる。
「私も……!!」
「俺らめっちゃ気合うな!!」
そういうとまた、屈託のない笑顔を私にむける。

