「優しいな、ひなたは」
「別に普通だよ」
「ひかりとそっくり……」
最後に何を言ったのか聞き取れなくて、え?と聞き返したが、誤魔化されてしまった。
「朝陽くんは部活入ってるの?」
教室に到着し、それぞれ荷物をもつ。
部活があるのなら、ここでお別れだ。
そう思い尋ねてみるが、首を横に振られた。
同じ質問を聞き返され、私も首を横にふる。
「じゃあ、かえるか」
にかっと笑う朝陽くん。
2人しかいない教室は夕日に照らされて、オレンジ色に染まっていた。
朝陽くんの頬も夕日と同じ色に染められる。
「一緒に帰るの嫌だった?」
しばらく黙っている私を不思議に思ったのか朝陽は首を傾げる。
ぶんぶんと首を横に振り、教室をあとにした。

