教室からぱらぱらと人が出ていく。
扉のまわりが混雑しているからもう少し待ってから出よう。
「でないの?」
「空いたらね」
動かない私を不思議に思ったのか朝陽くんに声をかけられる。
私の答えに納得したように、朝陽くんも動くのをやめた。
人が減ったのを確認して、立ち上がる。
「やー、ひなた。ごめんな」
教室と、目的地が同じ私たちは自然と隣を歩く。
「なにが?」
「図書当番だよ。最初になってさ。ほんとごめんな」
朝陽くんがじゃんけんに負けたから私たちは来週から2週間図書当番になってしまった。
遅かれ早かれやることには変わりないから、私てきにはなんでもよかった。
けれど彼は責任を感じているらしい。
「まあ嫌なことは早く終わった方がいいし」
気にしないで。そういえば朝陽くんはぱあっと顔を明るくした。

