店員さんのスムーズな対応で、私たちは指示された部屋へと歩いていた。
前を歩美と雅也さんが歩き、少し距離を置いて朝陽くん。そして私。
歩美と雅也さんは楽しそうに話している。
うん、いい感じ。
店内では、今人気の月9の主題歌が流れていた。
私が来る時に聞いていたものだ。
切なくて、少し悲しくなるけど、とても心にじんわりとくる。この曲がとても大好きだ。
「あ、俺この曲めっちゃ好き」
流れている音楽に気づいた朝陽くんがそう話せば、歩美ちゃんと雅也さんは話すのをやめ音楽に耳を向ける。
「あ、月9の主題歌だ」
「雅也くん月9みてるんだ。なんか意外だね」
今の月9は切ない幼なじみのラブストーリーだ。
あんまり男の子がラブストーリーを見るイメージはないから、私も朝陽くんや雅也さんが知っていたことは驚きだった。
部屋につき、みんなが思い思いの曲を歌った。
だけど私だけは歌わず、ずっとさっきの曲のことばかり考えていた。

