「あ、ひなた。どこかいくの?」
「うん、ちょっとね」
私を見つけたひかりが声をかける。
「ひかりたちもどこかいくの?」
「ううん、理央がもう帰るからそのお見送り」
「へえ」
それじゃあ、と先に階段をおりる。
玄関について靴を履く。
出ようとすると、理央が腕をつかんだ。
「ひなた、どこいくの?送ってやるよ」
振り向けば、心配そうに私たちをみつめるひかり。
「や、いい」
理央の手を振り払って扉を開き、早歩きで家から立ち去る。
すぐにイヤフォンをつけ、すべての音を遮断した。
3曲目が終わる頃には、カラオケはもう目の前だった。

