「それじゃあ、2時にいつものカラオケね」
「わかった」
この高校のそばにはカラオケはひとつしかない。
だからカラオケに行く時はいつもそこ。
私と歩美の家の分かれ道。
手を振って私たちはそれぞれの道に進んだ。
家について財布から鍵を取り出す。
差し込んで回すが開いた感覚がなかった。
またか。
玄関の戸を開けると、ひかりと理央の靴。
どたどたと階段をのぼり、ひかりの部屋をノックする。
「ひかり?また鍵があきっぱなしだったよ。気をつけてね」
それだけ伝え、隣の私の部屋にはいる。
ひかりの部屋には入らなかった。
ひかりが、理央に想いを寄せていることはなんとなく知っていた。
直接伝えられた訳では無いけど。
邪魔はしない。
幼なじみの私が言うのもなんだけど、理央はかっこいい。
顔も整っているし、運動神経も悪くない。それに頭も良い。
ひかりとお似合い。

