「いや、よかったよ無事で……。しおんも探してたかられんらくしとくね」

「あ、うん……」

通信しているのか、無言になったりおんは、話終えてこちらを向く。

「しおんもこっちに来るって。ま、ゆっくり帰ろうか」

歩きだすと、小幅を私にあわせてくれているのか本当にゆっくりと歩く。

どんな話してたのか、聞いてみようかな?

「ねぇ、二人でなんの話をしてたの?」

「え?あ、それはね――……。うーん、まぁいいか。しおんのことなんだけどね」

徐々に話し出す。
私は相槌をうって、りおんをみていた。

「あいつはフェロモンの力を持ってて、虜にした女を自分の駒として扱うこともできるんだ。殺す道具として役に立ってるんだけど――」

フェロモン……。
確かにあるきがする。あれは見つめられたら女の子は好きだと勘違いしてしまいそうなほどに。

「惚れたでしょ、あいつに。好きになっちゃった?」

「え?」

足が自然と止まってしまった。
りおんもこちらを振り返ってくれる。

「僕のかんが外れてたらいいんだけど……」

「どう、だろ……」

確かにしおんは格好いい。
顔はイケメンだしスタイルいいし、なによりあの目付きがみんなを引き寄せる。

「……好きって言うのじゃないんだけど、なんかわかんないや。好きな人を思う感情じゃないもん」

「ふーん……。そっか」

既に、家の前についてしまった。
しおんは、一体どこに――……。

「あ、しおん!お帰り!」

「………………」

後ろを振り向くと、しおんがいた。
いまさっきの話、聞いてた?まさか、ね……。

なんだか元気のないしおんと目があうと、ふいっとそらされて、しおんはそのまま家に入っていった。

しおん……?

「あ、えっと……きにしないで!きっと疲れただけだと思うから!」

「う、うん……」

私も、しおんに引き続いて家に入っていった――……。