家に帰ってくると、靴がある。
お母さんの靴だ。

帰ってきてる!

「なんだ。やっぱあのばあさんでたらめだったな」

「そう、だといいけど……」

リビングの向こう側に人影が見える。
それにほっとしてお母さんの名前を――。

「お母さ……ん……?」

目の前にいたのは――。

「あら、お帰りなさい!今丁度お茶を入れていたの!ほら、りおんくんも――」

私よりも先に反応下のはしおんだった。

「りおんっ!?なんでここに‼」

え?え?

「やぁ。しおん。思った以上に仲良くしてるみたいじゃないか」

りおんが、しおんで。
しおんが、りおん??ってこと??

「あら?りおんくんはどっちなのかしら?」

これは……。

二人とも顔が瓜二つなことに気づく。幼児体型。
けれど、しおんの方は右眉毛にほくろがついているのがもう片方の子にはついていない。

「お母さんこれおいしいですね!もう一枚いいですか?」

「あら、煎餅なんかまた買ってくればあるわよ~!」

バリバリと煎餅を食べているりおんと呼ばれる子を、しおんが「ちょっとこいっ!」と二階へ上がっていった。