救急車の音が今でも忘れられない。
私は、訳がわからず見ていた。
お父さんが、土台かなにかにのって救急車の中へ入っていくところを。
お父さん?
「悟!悟ぅっ‼どうしてこんな…………私たちが何をしたって言うのよー‼ぅ……ぁあ……っぁぁぁ!!……」
お母さん、泣いてる?
手を引っ張られて救急車の中に同伴していたけれど、子供の頃の私には理解できなかった。
「お母さん、泣かないで?」
「ま、りあっ……」
ぎゅと抱き寄せらたら、お母さんが悲しんで泣いていることにようやく気づいて私まで悲しくなった。
「なか、ないで……まま……っ……泣かないで……?」
お父さんが、運ばれた直後。
医者が「申し訳ございません……」といった途端に母の、悲痛な叫びが胸を引き裂きそうに辛く、泣いた―――。
あの日からもう18年の月日が流れたんだな。
「いただきまーす‼」
「あ?い、ただきます!」
お母さんとりおんが今は側にいて、私がいる。
もう充分なくらいに思えるこの時間は、今だけなのだろうか。
「まりあ?食べないの?」
「え?あ、うん食べるよ。いただきまーす!」
カレーライスを口に含むと口のなかで辛さとカレーの独特な味が喉を通っていく。
美味しい……。
だけど、なんだか満たされない。
懐かしいような、嬉しいような。
……このままずっとこの時間が続けばいいのに。
「……?まりあ、もう食べないの?」
「……ごめん、もう寝る」
「あ、そう……」
私の隣では1人むしゃむしゃ食べて口まわりにいっぱいカレーをつけているりおん。それをお母さんは自分の子供のように口まわりをふいてやっている。
ほんと、何もなかったら親子みたい。
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい」
自分の部屋に入るとベッドに横たわる。


