お母さん体悪いんだから飲ませないでよ‼

「もう‼」

「いってらっしゃ~い」

……いってきます。

心のなかでは常に心配。
笑いながら癌ができただなんて言われて、昔に比べれば随分疲れた顔つきになっているように見えるから。

早く、独立しなきゃ……。

考え込んでいると、何やら正門の前でキャーキャーと女子が囲むように集まっている。

うるさいな……。

そこは無視して過ぎようとした――。

「あ、まりあー!まりあこっちー!」

え……なんでここに!?

あの少年がいた。
女の子に囲まれていたのはこいつだ。笑顔で、手を振っている。

よし。みなかったことにしよっと。

―(方向転換!左向け~左‼)ホイッスル―

「あ!ちょっとー!待ってよー!まりあ~‼ちょ、通してっ」

ふぅ。危ない危ない。
流石に学校内へはこれないだろう。

自分の席に座って一息する。

「おい、立川ー!このこお前の側がいいって俺から離れないんだが……」

ガタッと席を立つ。

担任の後ろにいたのは紛れもなくあいつだった。

「まりあ~‼」

がくっと諦めの決意をした。
私の近くにまで来てはしゃいでるのを見ると、いかにも子供らしい。

だけどそれは演技だと言うことを知ってる。
これは誰にも信じてもらえそうにないことだ。

「お前、俺をシカトしたな?後で覚えとけよ」

は、はは。

普通にしてれば可愛いのに。