ランドセルを投げ捨てて、声がした方へ駆けつける。

「危ない!」

 夏憐が僕の腕を掴んで引き止めた。

 急な斜面の下の方の、木立と岩で見えづらい場所に洞穴が黒い口を開けていて、中を覗くと転げ落ちてしまった雪ウサギが泣いていた。