「いや、そんなつもりで言ったんじゃなかったんだけど」

 夏憐は一転して気まずそうに左手で頭を掻きむしった。

「僕も雪ウサギになりたい」

「アンタは人間で居るしかないわよ」

「だって僕っ、あんな大勢の前で言いたいことをちゃんと言えたのって初めてなんだよっ」

「そー。良かったわねー。
 だったら新しいクラスメイトともうまくやれるでしょうが!
 人間の友達を作りなさい!」

「僕、君と友達になりたい」

「あたしもう死んでるのよ」

「友達ができるんだったら死んでもいいよ」

「シャレになんないわよ」

「だって……」

「前の学校で何があったか知んないけど、アンタ、いいやつだもん。あたしだって生きてたらアンタと友達になりたかったわ」