そして、夏憐が突然、笑い出した。

「鱧煮っておもしろいね!
 あたしさ、幽霊になってから今まで、アンタ以外の人の前に姿を見せたことってなかったのよね。
 アンタ以外っていうか、ほら、余所から来る人だけ狙ってたから。
 町の人を無駄に怖がらせたくなかったし、そうなったら家族もますます悲しむしさ。
 刃物の跡なんてあたしじゃ想像もつかなかったよ。
 クラスのコ○ン好きの子なら思いついたかもしれないけどね。あたし一人じゃ永遠に一人で待ってただけだったかも」