真実はメイドだけが知っている。

僕とまゆは、実の兄妹じゃない。

僕の両親は、僕が幼稚園のときに離婚した。
それから、家には僕と父さんの2人だけだった。


まゆがくるまでは。




まゆがうちに来たのは、僕が中学に上がったころだった。

ある日、父さんがまゆを連れてきた。

詳しいことは聞かされてないけど、
前にいた家でまゆはひどい仕打ちを受けていたらしい。

そして、児童相談所とかがまゆを保護しどういう経緯か、うちが引き取ることになった。



当時小学5年生だったまゆと初めて会ったとき、僕は衝撃を受けた。

5年生とは思えない小さな体、痣だらけの膝や腕、そして何よりその目に惹き付けられた。

彼女は、怯えていた。

見るもの全てに、恐怖心を抱いていた。

だから、何も見ないように傷つかないように、全てから心を閉ざしていた。