○○○


ヴーヴー、と携帯のバイブレーションで目が覚める。


「ん~………」




布団の中から這い出て、私は充電器にさしっぱなしだった携帯を開く。


電話だ。

こんな時間に、一体誰からなのよ…せっかく気持ちよく寝ていたのに。


画面には《西成千穂-ニシナリチホ-》と出ている。

中学時代の、大親友だ。


さっきまで不機嫌だった私は、打って変わってご機嫌になり、思わず笑みがこぼれた。



千穂とは、小学校から中学校まで一緒だった。

千穂は歌が上手く、いつも採点カラオケで九十点以上を叩き出していた。

明るく、ふざけたところもあるが、一生懸命で真っ直ぐな子だった。




懐かしさを胸に抱いて、私は電話に出た。