ー…

会場は一度静まり返ると、
再び活気を戻した。

ーワァアアア

「只今の試合、
準々決勝通過者は…

リオ・クラネスっ!!!!」

きゃあきゃあと盛り上がる会場には、
リオの女性ファンが大勢詰めかけていた。

「あ、ありがとう…」

「こちらこそ!」

リリィはリオにお礼をいうと、魔法で羊の上にまたがり退場していった。

リオも同時に退場する。

今回は両者とも解放を
せずに終わった。

ちなみにリリィは、人魚の種族だ。



リリィは退場すると、
ジンに抱きついた。

「ジンっ…負けちゃった…。」

「お前はよくやったよ」

静かにジンの胸で泣いている。

「あいつ…許さねぇ」

ジンは、リリィをまるで
壊れ物を触るような手つきで包み込んだ。

「ジン…?」

「…なんでもねーよ。」

ジンは静かに会場の歓声を猛禽類のような瞳で聞いていた。