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学校から一度家に帰り、着替えをしてバイト先に来ていた。


今日は完全に失恋した日とあってあまり外へ出たい気分じゃなかったけれど、河田さんに嘘をついて休むのが忍びなくて、あたしはここに来ていた。


馴れた『ロマン』で馴れたアルバイトをすしている内に、少し気分が明るくなってきたのが自分でもわかった。


こういう時は家にこもらず、外へ出た方が気分転換になってよかったのかもしれない。


「じゃぁ、俺は解体部屋にいるから」


「はい」


隠し扉から解体部屋へと向かう河田さんを見送り、あたしは自分用にコーヒーを入れた。


『ロマン』開店から３０分。


まだお客さんがくる気配はない。


今日は平日だし、夕方から雨が降り始めているのでお客さんが来るかどうかも怪しい雰囲気だ。


あたしは熱いコーヒーをゆっくりと飲んだ。


雨で少し冷えた体を暖かく包み込んでくれる。


『ロマン』でアルバイトをしているからこそ味わえる暖かさに、あたしは自然と頬を緩めていた。


傷ついていた心がジワリと柔らかくほぐれていくようだ。