そのせいか、開けられた玄関の向こうの部屋がとても薄暗く感じられた。


家の中はシンとしている。


「冬のお見舞いにきました」


舞美がそう言うと、すんなり玄関に通してもらえる。


しかしその表情に笑顔はなかった。


「来てくれてありがとう。冬はここ数日熱が下がらなくて、病院へ行ってもなかなか治らないのよ」


「そうなんですか……」


舞美が不安の色を濃くする。


二階に上がり、一番奥の冬の部屋の前で立ちどまる。


「冬。学校の友達がお見舞いに来てくれたわよ」


そう声をかけるが中から返事はない。


眠っているのかもしれないと思ったが、母親がドアを開けてくれたのであたしと舞美は部屋に足を踏み入れた。


窓辺に置かれているベッドに冬は横になっていた。


目は閉じられて、荒い呼吸を繰り返している。


額や首筋にはいくつもの汗の玉が流れていて、見ているだけでもその苦しみが伝わってきた。


「冬……」


舞美がベッドの横に座り、その顔を覗き込んだ。