「ほんと、モコはこういう映画得意だよね」


画面から視線を逸らせたままの舞美が感心したようにそう言って来た。


「ま、まぁね……」


あたしは曖昧にほほ笑んでそう答えた。


あたしがこういう映画に慣れているのには理由がある。


でも、その理由は言えないんだ。


だって……。


「キャァァ!!」


突然楓が悲鳴を上げてあたしにしがみ付いて来た。


画面を見るとゾンビのドアップが映し出されていて、大きな効果音と共に人間を食い荒らしている。


「と、止めようか?」


あたしは慌ててリモコンに手を伸ばし、映画をストップさせたのだった。