「いつの間にこんなものが……?」


「数週間前、俺が解体の仕事中に酔っ払い客が来て困ってただろ? あれから監視カメラで店内を確認できるようにしたんだ」


そう言われ、あたしはフッと肩の力を抜いた。


河田さんはすべて見ていたのか。


「ごめんなさい。すぐに開店してきます」


「いや、今日はもういい。解体作業もこの『お客様』で最後だ。少し早めに終わればいいよ」


河田さんはそう言い、微笑んだ。


あたしに気を使ってそう言ってくれているのがわかり、あたしは申し訳ない気分になった。


「それなら、片づけの手伝いをします」


あたしはそう言い、派手なカッパを着て切断された『お客様』の肉片をホウキで拾い集め始めたのだった。