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数十分後。


本日2度目の『ロマン』に来ていた。


『ロマン』の鍵は開いていて、河田さんが動き回っている物音が外にまで聞こえてきている。


店の大掃除でもしているのが、ガタガタと相当大きなものを移動しているようだ。


「おはようございます」


声をかけて中へ入ると、店内は埃がまっていてあたしと楓は思わずせき込んでしまった。


「おはよう。今日は長年の汚れを掃除してたんだ」


河田さんは解体で使うカッパを身に付け、マスクをして両手にハタキを持っていた。


本当に大掃除をしていたようだ。


「掃除くらい、閉店後にあたしと楓でやりますよ」


「そう言ってもらえると助かるよ。でも、少しでも自分の手で片づけておきたくてね」


河田さんはそう言い、小さな窓を目一杯開けた。


日の光がさしこんで、ホコリが輝く。


「今頃大掃除なんて、どうしてですか?」


そう聞くと、河田さんはハタキを使う手をとめてあたしを見て来た。


「そうだな……うん……。楓ちゃん、ホコリ取りをお願いできるかな?」


「え、あ、はい」


楓が慌てて河田さんからハタキを受け取った。


「モコちゃん、ちょっと話があるんだ」


そう言い、河田さんはあたしを解体部屋へと促したのだった。